最も需要が見込める民泊ビジネス参入のための基礎知識
民泊新法と不動産会社の関わり早わかり解説

日本政府は、3月10日の閣議で、住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法案(民泊新法案)を決めました。「急速に拡大する民泊の近隣トラブルが社会問題になっており、一定のルールを作って健全な民泊の普及をはかる」をコンセプトとするこの新法案は、早ければ2018年1月にも施行されることになります。
1.住宅宿泊事業法案(民泊新法)の対象者
- 対象者(1):住宅宿泊事業者(民泊ホスト)
- 対象者(2):住宅宿泊管理業者(民泊代行会社)
- 対象者(3):住宅宿泊事業者(民泊仲介サイト等)
民泊新法では、住宅宿泊事業(民泊サービス)に関わる者を「住宅宿泊事業者(民泊ホスト)」「住宅宿泊管理業者(民泊代行会社)」「住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト運営会社)」の3つに分類し、それぞれに対して適切なルールを定めると共に、各関係省庁に対する登録・届出を定めました。
2.住宅宿泊事業者(民泊ホスト)について
民泊ホストとは
住宅宿泊事業者(民泊ホスト)とは、例えばAirbnbなどの「民泊サイト」に物件を掲載し、民泊サービス(住宅宿泊事業)を営む方を指します。
民泊ホストの守るべきルール
民泊ホストの守るべきルール民泊ホストが守るべきルールは、以下の内容等になります。
- 1年間の営業日数は180日以内とする
- 宿泊日数の定期的な報告
- 外国人観光客に対する外国語を用いた説明
- 床面積に応じた宿泊者数の制限、衛生管理
- 非常用照明器具の設置、避難経路の表示
- 火災・災害時の宿泊者の安全確保
- 宿泊者名簿の備え付け
- 周辺地域の住民からの苦情、問い合わせへの対処
加えて、以下に該当する場合は、民泊の運営業務を住宅宿泊管理業者(民泊代行会社)に委託しなければならなくなりました。
- 届け出た住宅の部屋数が、民泊ホストとして対応できる適切な管理数を超えている
- 届け出た住宅に宿泊者が滞在する際に不在となる
2点目に関しては民泊ホストが生活の拠点としている住居と民泊物件の距離等も勘案されます。
3.住宅宿泊管理業者(民泊代行会社)について
民泊代行会社とは
民泊代行会社とは、民泊ホストからの委託を受けて、住宅宿泊管理等の業務を行う事業者を指します。
民泊代行会社の守るべきルール
民泊代行会社が守るべきルールは、以下の内容等になります。
- 国土交通大臣に対する登録の必要性
<登録のポイント>- 登録は5年ごとであり更新が必要
- 登録免許税(9万円)を支払う
- 管理受託契約の締結時の書面の交付による説明
- 管理業務の全部の再委託の禁止
- 従業員は、登録業者である証明書を携帯する
- 民泊代行会社の営業所または事業所ごとに、国が定めた様式の標識を掲示する
- 名義貸し、誇大広告の禁止
なお、2018 年の施行を予定されている民泊新法の施行後は、登録事業者が一覧として公開されるようになります。
4.住宅宿泊仲介業者(民泊サイト)について
民泊サイトとは
民泊サイトとは、Airbnb等の民泊仲介サイトを指します。このサイトでは、宿泊者への契約内容の説明等が義務付けられます。
民泊サイトの守るべきルール
民泊サイトが守るべきルールとは、以下の内容等になります。
- 観光庁長官に対する登録の必要性
<登録のポイント>- 登録は5年ごとであり更新が必要
- 登録免許税(9万円)の支払う
- 住宅宿泊仲介業約款を定め、実施前に観光庁長官へ届出が必要
- ※ただし、観光庁が「標準住宅宿泊仲介業約款」を定めた場合、同一のものを使用する際は届出不要
- サイト利用者であるゲストやホストから受け取る手数料を公示する
- 宿泊契約締結時に書面の交付による説明を行う
- 民泊サイト運営会社の営業所または事業所ごとに、国が定めた様式の標識を掲示する
- 名義貸しの禁止
民泊仲介サイトに関しては、民泊営業180 日という制限との兼ね合いを、どのように情報制御していくかということもポイントになりそうです。

5.民泊新法に違反した場合の罰則について
法に定められた内容に対する主な罰則は、以下の2種類に大別されます。
1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられる場合
- <民泊代行会社・民泊サイトに対して>
-
- 登録なく民泊代行や民泊サイトを運営
- 不正な手段により登録を受ける
- 名義貸しをして、他人に運営代行や民泊サイトを運営させる
6ヶ月以下の懲役もしくは100 万円以下の罰金を課せられる場合
- <民泊ホストに対して>
-
- 事実と異なる宿泊日数や物件所在地等、虚偽の各種届出をした場合
6.その他、民泊ホストにとっての新法におけるポイント
不動産オーナーが多く該当する民泊ホスト。この方々にとって、新法におけるその他のポイントは以下になります。
- 現在「特区民泊」で設定されているような泊数制限がなく、1泊からでも営業可能
- 住宅専用地域でも民泊営業が可能になる可能性
- インターネット上で「届出」を行うことができる可能性もあり
7.不動産会社が民泊ビジネスを実施、参入するための2つのポイント
民泊ビジネスを有利に進めていくために必要なもの
空室を活用することができ、自社運用でも、不動産オーナーから依頼されての代行としても、不動産会社の周辺業務としても取り組む価値のある民泊ビジネス。なお、民泊ビジネスを有利に進めていくために必要なこととしては次の2つがあります。
- 民泊ビジネスに対する知識
- 民泊の専門家であると証明できるライセンス
4時間の認定講習とレポート提出で民泊専門家のライセンスを取得
民泊ビジネスの知識と専門家と証明できるライセンスを取得するのに最適な「民泊適正管理主任者」資格。この資格は全4時間の認定講習とレポート提出で取得することができます。
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「民泊適正管理主任者」とは
民泊適正管理主任者とは、民泊に関する法令、条例等関連法規を理解すると共に、民泊の企画運営、管理の専門的ノウハウをもって、民泊事業者(これから事業を営もうとする方も含む)及び民泊施設提供者やその他民泊事業に関わる方の相談に応じることのできる専門資格です。
こんな方にお勧め
- 現在民泊経営を行っている不動産オーナーまたは不動産会社経営者や営業担当者
- 保有している物件の民泊活用を検討している不動産オーナーまたは不動産会社経営者や営業担当者
- 不動産オーナーに対し物件の民泊活用を提案したい不動産会社経営者や営業担当者
資格取得のメリット
- 民泊ビジネスのポイントを知ることで、このビジネスに参入することができる
- 自社が行う民泊ビジネスの内容やオーナーに提案するポイントが分かる
- 法的に適正な方法で、民泊ビジネスを実施することができる
- 適正な民泊サービスを提供する事業者として、宿泊客に安心を与えられる
ADR(裁判外紛争解決手続き)の調停人にもなることができる
裁判でなく、話し合いでトラブルを解決するADR。民泊適正管理主任者は、このADRを実施する調停人になるための基礎資格としても認定されています。民泊は、どうしても近隣住人やマンション管理組合とのトラブルが発生するケールが多いため、ADRも実施できるとなると、より専門家としての信頼を得ることができます。
- ≪参考≫「かいけつサポート」について(法務省) http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/